研究ハイライト

2024/01/18

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能登半島地震:社寺の地理的分布と被災状況把握

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能登半島における社寺の地理的分布と被災状況把握
歴史都市防災研究所 GIS 研究グループ

作成⽇:2024/01/17

要約版:能登半島を対象に、地形図から抽出した神社・寺院(計 1,918 件)の分布と震度分布を重ね合わせると、半数を超える神社・寺院が震度 6 弱以上に、そして全体の約 4 分の 1 が震度 6 強・震度 7 の揺れに⾒舞われたと考えられる。地理的な分布をみると、特に半島⻄部では 6 割以上の神社・寺院が震度 7 の揺れを受けたことや、震源に近い半島北東部では神社・寺院が⽴地する海岸沿いに震度 7 の分布域があり、被害の拡⼤が危惧される。

詳細版:能登半島を対象に、国⼟地理院発⾏のデジタルの地形図から抽出した神社・寺院 (計 1,918 件)の分布を、第 1 図に⽰す。このような神社・寺院の多くは、地域の歴史・⽂化を語り継ぐ重要な共有財産としての側⾯をもつ。くわえて、地域の⾝近な神社・寺院は、⼼の拠り所であると同時に、祭礼 ・⾏事を通じて、地域コミュニティの結束にも寄与してきた。地形図に掲載された神社・寺院の規模や建⽴年はさまざまではあるが、古くからの⽊造建築であるものも多い。またその⽴地は、海岸沿いのほか、内陸部にも広く分布していることがわかる。

2024 年 1 ⽉ 1 ⽇に発⽣した令和 6 年能登半島地震は、震源に近い能登半島北東部と半島⻄部を中⼼に震度 6 強・震度 7が記録された。第 2 図に、地震の震度を⾯的に推定した地図を⽰す。震度分布は、震源からの距離や地形条件などを反映する。ここでは、神社・寺院の被災状況を把握するために、第 1 図と第 2 図の地図を重ね合わせる簡便な⽅法で、各神社・寺院の⽴地場所の震度を求めた。それらをメッシュ区画ごとに集計した結果が第 3 図になる。能登半島の区画内の範囲に限定されるが、神社・寺院全体 (1,918 件)の半数を超える 1,008 件が震度 6 弱以上に、そして全体の約 4 分の 1 に当たる496 件が震度 6 強・震度 7 の揺れに⾒舞われたと考えられる。地理的な分布をみると、半島⻄部に位置する志賀町で震度7 と推定されており、そこでは同区画内にある 6 割以上の神社・寺院(23 件)が震度 7 の揺れを受けた可能性がある。また能登半島北東部ほど震度6強以上の割合が⾼く、特に神社・寺院が⽴地する海岸沿いは震度 7 の分布域に当たり、被害の拡⼤が危惧される。

地震による神社・寺院への被害は、本殿・本堂などの建築物の倒壊以外にも、⿃居や灯篭、墓⽯、庭園などにも及ぶ。地震発⽣後、しばらくして⼀部の⽂化財の被害が報道されているが、地域の⾝近な神社・寺院の被害状況に関しては、⼗分な調査を実施できる状況にはなく、依然として全容がわかっていない。今後、地域の復興のためにも、神社・寺院の被災状況の調査が必要となる。

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第 1 図:地形図上に記載される神社・寺院の地図記号の位置出典:数値地図(国⼟基本情報)
第 2 図:震度分布図 発⽣時刻 2024 年 1 ⽉ 1 ⽇ 16 時 10 分出典:QUIET+(地震動マップ)
第 3 図:地域別にみた神社・寺院の被災状況把握(神社・寺院の震度別集計)出典:数値地図(国⼟基本情報)及び QUIET+(地震動マップ)