広報 (新聞掲載記事・研究会案内)

洛星中学校・高等学校10名の生徒の皆さんに大規模災害時に文化遺産が防災拠点として果たす役割を考える授業を実施しました

2025年2月15日(土)、学校法人ヴィアトール学園洛星高等学校との連携のもと、洛星中学校・高等学校10名の皆さんを対象に高大連携講座を実施しました。本講座は、洛星高等学校の生徒有志による東日本大震災の被災地訪問活動の事前準備として、当研究所が高大連携に基づいて防災をテーマにした地域調査の方法についての学びを支援するプログラムです。

今回は、当研究所の研究メンバーでレジリエントな都市・地域計画理論とコミュニティデザインに関する研究を行う金度源准教授(理工学部環境都市工学科)が、中高生の皆さんに「津波や火災から地域を守る文化遺産の防災拠点活用―東日本大震災に学ぶ「駆け込み寺」という知恵―」というタイトルで講義を行いました。講義では、東日本大震災の際に神社や寺院が防災拠点として果たした役割について、中高生に問いかけを行いながら、授業が進められました。

受講生の皆さんから、以下のようなコメントが寄せられました。

「京都に住んでいる身としては、社寺がかなり当たり前の存在なのですが、その存在が大地震時にも誰かの役になっていると知れてよかったです。実際に調査された結果がわかりやすくまとまっていたので、とても理解しやすいお話でした。まだまだ震災というものは起きてしまいますが、そういう時こそ伝統的な減災の知恵が役立つのかなと思いました。貴重なお話をありがとうございました。」

「都市部と漁村部での社寺の『運営面』の特徴と課題が一番興味深かった。住職さんの負担が場所によって違うことは知らなかった。実際に東北に行ってきいてみたり、調べてみたい。本日の講座は初参加でしたが、とてもおもしろかったので、また来たい。」

「寺社は、やはり古いものが多いので、震災においては支えられるものだというイメージがあったが、むしろ、住民を救うためのものだということが、それももちろん個別の違いはあるが、有用な施設なのだということがよく分かりました。一方で、寺社には大きな負担がかかり、また、避難者の自立が難しくなるという問題もあることが分かり、都市と漁村での違いなどもあることが分かり、研修の時に現地の現状や改善方法を深めていきたいです。」

「なんとなく被災時の社寺の活用もあったろうなとは思っていたが、今回の講義を通して、より自分の中で整理することができた。避難場所としてだけではなく、避難所としての活用は、寺の本来的な役割を考えると、とても納得のいく話であった。来月から東北で暮らす中でも、今回のお話を念頭に置いて、土地をみていきたいと思っている。」

受講生の皆さん、現地を訪問する今年の夏休みに向けて、しっかり事前学習を進めていってください!

先生から問いかけに答えながら授業を受けました
金先生が調査された石巻市ってどんな場所?
被災を免れた神社や寺院が避難所として活用されていました
避難所として活用された際の寺院の間取りはどのようなものだったでしょう?
質疑応答では2024年能登半島地震における文化遺産の被災状況についても議論になりました
講座終了後に「阪神・淡路大震災30年特別展示 阪神・淡路大震災と立命館大学」も見学しました