首里城正殿等で発生した火災事故について
立命館大学 歴史都市防災研究所
首里城正殿等で発生した火災事故は、文化遺産防災の必要性を改めて痛感した大変衝撃的な事件でした。首里城は地元の方々を始め広く国民に愛され続け、様々な活動の舞台に使われ続けて来ました。今回の火災は、文化遺産の持つ意義や意味を改めて世に問う事件であったとともに、それらを守ることの重要性を広く再認識するきっかけとなりました。
焼失した建築そのものは近代の復元であることから、歴史的価値はまだこれからという評価がある一方で、文化的価値という側面からは、多方面にわたる生きた文化的活動の舞台として、これまで計り知れない貢献を重ねてきたことに異論は無いでしょう。また、新たな世代にとっては、生まれたときから「そこにあった」心の支えでもある大きな存在であることに変わりはありません。
失われたオリジナルが戻ることはありません。しかしながらこのような事故を二度と起こさないためにも、悲しみから得た教訓を将来に活かす活動を通して、発展的な復元を支えていくことこそ、私たち研究者が成すべき重要な責務と考えます。歴史都市防災研究所は、そのために必要な技術や知見を積み重ねてまいりましたし、今後も引き続き研鑽を重ねる所存です。
関係各位に対して心よりお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復興を祈念しております。