広報 (新聞掲載記事・研究会案内)

立命館慶祥高等学校にて、高大連携事業の一環として授業を行いました

2025年10月10日(金)および10月12日(日)、当研究所所長の吉富 信太 教授(理工学部)、研究メンバーの田代 優都さん(文学研究科 博士前期課程2回生)、井上 萌来さん(理工学研究科 博士後期課程1回生)が、立命館慶祥高等学校にて、高大連携事業の一環として授業を行いました。

10日には研究テーマや研究者としての生活、この道に進んだきっかけなどを、現在の研究の最前線に立つ視点から、さまざまな話題をまじえてお話しました。

また、12日には札幌市の豊平川周辺地域にてフィールドワークを行いました。

参加された立命館慶祥高校のみなさんからは、以下のようなコメントをいただきました。

・先生の話では事前学習で習ったことをより詳しく説明していただき、地形のでき方や働きについてより詳しく理解することができた。また、事前学習では習わなかったことや、碁盤の目状の道路にある曲った道などの身近にある変わったことには理由があるということを知った。また、専門知識を持たない私達のために簡単に説明してくださったため、理解しやすかった。

・吉富先生の建築の話、田代さんの地域バスの話、井上さんのまちづくりの話、それぞれの研究についての話を聞かせてもらったが、全員が共通して研究を心から楽しんでいるように感じた。それぞれ今まで過ごしてきた環境も違い、学んできたことも別だったが、それぞれがそれぞれのやりたいことを見つけ、本気で楽しみながら研究している様子が自分の将来の期待に繋がった。

・建築といえばデザインや構造のイメージが強かったが、実際には数学のような理系的要素と人間や社会を考える文系的要素の両方が関わっていることを知り驚きとともに興味が広がった。また「全部はできないから連携が大事」という言葉が特に印象に残った。専門性を持ちながらも他の分野と協力して新しいものを生み出していく姿勢が、これからの社会にも必要だと感じた。貴重なお話をしてくださった事に心から感謝いたします。

・フィールドワークを通して、実際に道を歩かないと扇状地のでき方についてや、地面の下で起きていることがわからなかった。また、「なぜこのようなオブジェクトがあるのか」と感じた疑問が実際に見てみて説明を聞くことで理解することができた。石碑や建造物を実際に見ることで一昔前の雰囲気も感じられた。

・今回の防災フィールドワークを通して、日常の中にある「危険」や「備えの不足」に気づくことができた。普段何気なく通っている道にも、土砂災害の危険区域や避難経路が分かりにくい場所があることを知り、災害は特別な時だけ起こるものではなく、身近な生活とつながっていると実感した。鮭科学館では、鮭が命をつなぐために川をさかのぼる姿や、水の循環について知り、人間の生活と自然環境が密接につながっていることを実感した。また、精進川では、過去に水害が起きた場所や堤防の仕組みを見学し、川の整備がどれほど防災に重要かを理解できた。

・今まで札幌市で生活してきて、扇状地という観点で札幌市を見たことがなかったが、各地域の土地のあり方や土地活用の仕方、発展の仕方など、明治以降札幌市が作られた背景には扇状地という影響が大きいということが分かった。また、防災の観点でも清華亭を実際に見て、川が氾濫したときのためなどに建物の基礎は札幌軟石で作るなど、面白い工夫がされていることが分かった。北大の付近ではメム(湧水が出る場所)が知らない場所にあったり、その地形をうまく利用した街づくりがされていて面白かった。今回は札幌市だったが、他の地域の発展の仕方についても気になった

高校生のみなさんにとって、進路や自己の関心について考えるきっかけになれば幸いです。